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姉が帰ってこない

姉が家に帰ってこないのだ。

 

私より3歳上の姉はそれはもう自分勝手かつ不器用な単純バカ、くだらない部分に異常な執着を見せる人間である。例えば、家を空けるときはどんな短時間であろうと鍵は必ず上下施錠するし、友達から貰ったプレゼントがいかに邪魔になろうと決して捨てなかった。

めちゃくちゃバカなのかなと何度も思ったが、不思議なことに姉の成績は常に学年一位だった。めっちゃバカなのに。

早寝遅起きの最低な生活習慣をモットーとし、眠る際に消し忘れた電灯が朝まで煌々と輝き続けた夜は星の数より多い。朝一番に怒られる姉が不憫で気付いた時はこっそり消してやったのだが、そのうち廊下で寝るようになったので無視することにした。曰く「廊下で寝れば途中で起きられるから」とのこと やっぱりめっちゃバカなんやと思う。

料理の腕に関しても壊滅的で、キムチと米と卵のみでマズいチャーハンを作ったこともある。逆にどうやったんだろう。

 

この春、私は晴れて大学二年生に進級した。二足す三引く四は一。数式の表す通りごく当然の結果として姉は社会人となった。

現場職の姉は幸運にも疫病がまだ流行らぬ地方に勤務となり、国内でもっとも遠いような部屋で一人、暮らしている。

寂しいのだろうか、「今日の夕飯何〜?」とLINEを送ってきたこともあった。聞いたってなんの意味もないのに。

 

私たちはなんだかんだ仲良し姉弟で、二人で映画館に車を走らせレイトショーを楽しんだ夜が何度もあった。これは隠されたこの世の真理なのだが、映画の高揚感で胸を満たして車を駆る帰り道より完璧なものは存在しない。感想を言い合う相手が隣に座っていれば尚更である。

 

最近気付いたことなのだが姉が家に帰ってこない。零時を過ぎようが、月が巡ろうが。不思議だ。

 

 

 

 

今週のお題「会いたい人」