ことわざって面白くないですか?「暖簾に腕押し」「糠に釘」のように分ける意味を感じないものから「二度ある事は三度ある」「三度目の正直」のように真反対の意味を持つものが同時に存在している。そんないい加減なものなのに、引用すると意外と誤魔化せる場合が多い。
窮地に陥った人間が「ほら、○○は○○から〜って言うじゃん!?」みたいな感じで名言を引用するように作って増えてきたのだろうか。そうだとしたら自分で作っても間違いではないはずだ。
ゼロから作るのは難しいので、「人間の魂はアフリカに還る」に基づき、まずはアフリカのことわざを学ぶ。
学んだ。以下、判明したこと。
・高確率でサバンナに住む動物が登場する
ex)「シマウマを追っても必ず捕まえられるわけではないけれど、捕まえた者は追っていた者」「サイの角のように、ただ独り歩め」
・獰猛な獣が登場することわざは諦念を孕む
ex)「丸太がどんなに長く水につかっていても、決してワニにはならない」「バッファローに追われて木のてっぺんに登るはめになったら景色を楽しみなさい」
・観測出来る最小の生物は「シラミ」、最大は「ゾウ」
ex)「一度の強打ではシラミを完全に殺せない」「ゾウたちが戦えば、苦しむのは草たち」
・人工物は皆無、反対に自然物は数多く登場するが最頻は「バオバブの木」
ex)「英知とはバオバブの木。誰も一人でそれを抱き締めきれない」「バオバブの木を揺らす人は自分しか揺らせない」
・場所がわからない
ex)「ウングジャ島にあるならば、ペンバ島にもある」「ニジェール川でさえ、島を避けて流れる」
・最頻の果物は「バナナ」
ex)「ツイてないときは熟したバナナさえ貴方の歯を引っこ抜いてしまう」「全てのものには終わりがある。ただし、バナナにはそれが二つある」
・美しい
ex)「鳥が鳴くと、人々はその意味を語り出す」「太陽は跪いている者より立っている者を先に照らす」「落ち葉は、落ちる以外何もできない。しかし、朽ちて堆肥となれる」
・説教が等身大
ex)「人に服装を相談する前に、その人が着ている服を見なさい」「貴方の小さなトゲのごとき嘘でも、槍の大きさに育ち、貴方を殺す」
・「1+1=2」式の、哲学の基礎的問答と同系統の仕組みを持つ
ex)「行く手について知りたければ、向こうから来る人に訊けばよい」
総じて素晴らしいものが多い。模倣する。
「ワニはその歯を常に持ち歩く」
「バオバブの木にバナナは実らない」
「ガボンの歴史を知らなくても、そこで息を吸うことは出来る」
「肉の旨さに最初に気付いた者は、最初に肉を口にした者である」
デッドコピー。美しさ、そして何より「気付き」に欠ける。
エッセンスだけを詰めた「アフリカのことわざ」ランダム生成マシンを作った。結果が9264億通りと、世界人口の軽く100倍ありますが5分で飽きる。
アフリカのことわざ曰く「山と山は会うことができないが、人と人は会うことができる」です。
貴方が心を委ねられる言葉なら、たとえランダムでもニセモノでも、嘘ではないのかもしれません。