朝食のチョコシリアルをソシャソシャと口に運びながら考える。私がチョコシリアルを食べるのは、シリアルを食べ終えたお皿に残る、ほのかに甘い香りが付与された牛乳を飲むためではないのか、と。
昨日から滞在しているオークランドはニュージーランド最大の都市で、美しいオフィス街と吹き溜まりが共存する街だ。
宿が飲み屋街に位置しているため、夜になっても窓の外は明るい。この『ボンソンビー』飲み屋街は沿岸部のおしゃれなバーに心理的、金銭的に行く事ができない人間の溜まり場となっている。必然的に治安もあまり良くない。昨夜は十五分おきにサイレンが鳴り響いていた。
旅の終わりが見え始めて不安だったのかもしれない 昨日は友人達と長電話をした。
今日は動物園に行った。街が見たかった、天気が良かった、バス代が高かった…etc.様々な理由で歩いて向かうことにした。
1時間ほど歩いて動物園に到着。園内は広く、ちょっとした村のようになっている。関係のなさそうな置物があったり、広すぎてジャングルのようになっている鳥園など、ひとつの世界であった。
歩き回ってたくさんの動物を見た。やる気があるのはミーアキャットくらいのもので、他の動物は大変ぐでっとなさってた。面白かった。
国鳥のキウイを見た。夜行性のキウイを展示している建物は昼夜を逆転させており、照明なども最低限にとどめられている。フラッシュ撮影はもちろんNGだった。真っ暗闇にたたずむキウイが写真に映るはずもなく、星空のように目に焼き付けることにした。キウイ、めっちゃモコモコしてた。
無限に続く平原でのんびりと草を食む動物達を見た後に、一生を檻の中で終える動物を眺めて楽しめるのか、という不安はあったが、動物達は存外にのんびりとしており、結果として非常に楽しかった。
宿に戻ってシャワーを浴びる。往復10キロ歩いた身体を癒すべく、炭酸水を呷る。たまらなく旨い。