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Longer Tweets

寒い夜長に短編小説は如何ですか。

束ねた紙にインクの染みが滲んだモノの価値を蔑ろにするなら、たかだか数千円の肉体に魂が棲み着いた我々の居場所は何処にあるのだろう。

 

最近めっきり寒くなった。何故「ぽっきり」でも「がっつり」でもなく「めっきり」なのだろうかなどと益体もない思考が入り込む隙が無いくらいには寒い。いと寒し。

今朝、家を出るときも「死ね」と世界から言われた。生命が歓迎されていない。

 

夜が長いので、面白い本を読みませんか?眠る前に、一話ずつ読めるような本を。

 

『本と鍵の季節』米澤穂信f:id:Miyabi717:20191205181921j:plain

少し影のある男子高校生2人が主人公。日常の謎を描いたら米澤穂信の右に出る作家はいない。丁寧な筆致で淡々と進む物語に夢中になってしまい、気が付いたら刃物を首元に宛てられている。何の気なしに見ていた景色が一瞬のうちに恐怖の対象にすり替わる、とても面白い短編小説。

 

『叙述トリック短編集』似鳥鶏「叙述トリック短編集」の画像検索結果

「犯人は女性、つまりあなたですよ」彼はそう言って僕—佐藤花子を指差した。幼い頃から男勝りの性格で、成長した今も自分のことを僕と呼ぶ癖が抜けなかった「僕」は〜

これが叙述トリックです。そうなんです、後出しジャンケンなんですよ。

じゃあ最初に「この短編集は全て叙述トリックです」って言えばズルにはなりませんね。

そういう本です。予告されているにも関わらず綺麗に騙されます。『戦力外捜査官』でも有名な作者の、トリッキーな設定を完璧に活かしきる能力が完璧に発揮された一冊。意外と自分の先入観って強いんだな、と感じます。「騙された!」って笑える、気持ちのいい本です。

 

『死神の精度』伊坂幸太郎「死神の精度」の画像検索結果

主人公は死神。比喩ではなく、死神。ランダムで選ばれた人間の生死の可否を決定する。感情を一切に排したハードボイルドな口調で語られる人間達。シンプルだが、他に類を見ない纏まりの良さが特徴。これぞ短編小説。

この本は超かっこいい。本棚にあるだけでダンディ度+5億されるトップオブ・カッコいいブック。

 

『超動く家にて』宮内悠介「超動く家」の画像検索結果

 短い作品は数ページで終わる、なんと脅威の16作品が収録された一冊。くだらないを突き抜けて新天地へと至った本作。表題作の『超動く家』を舞台に繰り広げられる殺人事件、日めくりカレンダーの一日が消えた謎を巡る『今日泥棒』などのミステリー(?)もの。宇宙ステーションでの野球盤対決をテクニカルに描いた『星間野球』、仄かなケレン味と淡い苦味が混ざり合った『弥生の鯨』。全ての作品に共通するクレバーな文体と思いつき。この本を「くだらない」と一蹴するのは手に取ってからで良い。奇妙な脱力感と絶妙な満足感が綯い交ぜになった、他では味わえない読後感がグッド。

宮内悠介を読む人生を選びましょう。

 

 

夜、眠る前。ちょっと美味しいコーヒーを淹れたなら、スマホじゃなくて本を選びたくなること請け合いである。冬はまだまだこれからです。サムイノヤダネ。

ここまで読んで頂きありがとうございます。紹介した本はとても面白いです。「ちょっと読んでみたいな」と思ったならば、是非お手に取ってみてください。皆様の素敵な出会いの手助けとなれましたら恐悦至極で御座います。